私はもう25年にわたって、ブラガローネの物語を書き続けています。
物語の時代は13世紀から現代までに及びます。
今のところ、これはその時間軸のいちばん最後に位置する話です。

実を言えば、トニー・トロメイは〈会社〉以外で一日たりとも働いたことがなかった。

もちろん、最初は一族の会社で働き始めた。だが合併によって、彼は〈会社〉の株主となり、取締役会の一員となった。

トニーとマイク

Tony and Mike.

彼は「忠実なるトニー」と呼ばれていた。
何十年ものあいだ、彼はただの一度も少数派に票を投じず、株主総会でも取締役会の提案に反対したことがなかった。

今日は彼の最後の出勤日だった。
そして彼は、〈会社〉の取締役として最後にもう一度、ガラスと鋼鉄でできたその本社ビルへやって来た。北側の角にある彼の執務室は、十九年間そこにあった。

出勤してきたトニー・トロメイは、首が痛くなるほど〈会社〉の建物を見上げた。二十九階にある自分の部屋の窓はここからは見えなかったが、向かい側の角にある最高経営責任者の窓を、朝日が金色に染めていた。

トニー・トロメイが公園を抜けて〈会社〉へ向かっていると、犬を散歩させている人を見かけ、マイクのことを思い出した。

父はよく言っていた。

「男に売りたければ、広告に女を出せ。女に売りたければ、子どもを出せ。だが全員に売りたければ、犬を出せ」

父はいつも犬を飼っていた。そして公の場で撮られる写真には、少なくとも背景に犬の写真が置かれていた。トニー・トロメイは幼い頃から、使用人たちと一緒に犬の世話を任されていた。

最後のレオ――犬はどれもレオという名だった――が安楽死させられたあと、トニー・トロメイはマイケル・ブルームバーグに父の犬たちの話をした。そしてブルームバーグから、マイクを贈られた。

それから十二年が過ぎていた。

日曜日、トニー・トロメイは自分の農園で、マイクを連れて散歩に出た。二人は農園の境界に沿って一周したが、犬の歩みはもうゆっくりとしていた。ときおりマイクは足を止め、長いあいだ主人の顔を見つめた。

農園のいちばん西の隅では、樫の枝の下から葡萄畑越しにハドソン川が見えた。

トニーは犬を浅い穴へ入れ、伏せるよう命じた。犬は穴の中へ下り、主人を一度見上げると、前脚のあいだに頭を置いた。

トニー・トロメイは犬の上に身をかがめた。上着のポケットから父のベレッタ――イタリア大使から贈られたものだった――を取り出し、犬の首筋に狙いを定め、引き金を引いた。

トニーは犬をまたいだまま立ち、しばらくのあいだハドソン川を眺めていた。それから穴を出て、土をかけた。

父は、ある種のことは自分の手でしなければならないと言っていた。

だがトニー・トロメイは、自分がもう六十年以上にわたって犬を撃ち、埋めてきたことを思い出した。

父によれば、商売には犠牲が必要だった。

屋敷に戻ると、トニー・トロメイは玄関に上着を置き、広間へ入った。頑丈な梁の下には、巨大な絹の絨毯が敷かれていた。イラン国王の大使から贈られたもので、彼の生家の裏庭よりも大きかった。

青と金のメダリオン模様の中央に、思いがけないものが待っていた。

血の混じった、ひどい下痢便。

マイクからの最後の挨拶だった。

白髪の男は、クリーニング業者に電話をかけながら、涙を一筋ぬぐった。